邯鄲の夢(かんたんのゆめ)
「邯鄲の夢」の意味
栄枯盛衰は、はかないものであるということ。
「邯鄲の夢」の語源・由来
「邯鄲の夢」の語源は、中国の伝奇小説「枕中記」にある、以下の故事が由来となっています。
唐の時代に、呂翁(りょおう)という道士が、邯鄲(かんたん)の茶店で休んでいると、盧生(ろせい) という若者が茶店に入ってきました。
盧生は自分の貧しい境遇を嘆き、出世の望みもないと呂翁に訴えました。
話をしているうちに盧生は眠くなってきました。
呂翁は、盧生に枕を貸してあげました。
眠った盧生は、次のような夢を見たのです。
「試験に合格し官吏になり、一時政変に巻き込まれて囚われの身となったが、晩年には出世して宰相となり、子宝にも恵まれ、寿命が尽きて永眠した。」
ここまでの夢を見ると、あくびをして目を覚ましました。
すると、そこはさっきの茶店で、呂翁が相変わらず傍らにいました。
茶店の主人は、盧生が眠る前に黍(きび)を蒸していましたが、それがまだ蒸しあがっていませんでした。
目に映るもの全てが、元のままでした。
盧生が「なんだ、夢だったのか。」と言うと、呂翁は笑って「人の世とはそんなものですよ。」と答えました。
盧生は、全くそのとおりだと思い、「おかげで人生の栄枯盛衰を知ることができました。これからもこのことは決して忘れません。」とお礼を言って、立ち去って行きました。