「地球から宇宙までの距離」は案外近い「100km」

「宇宙」と聞くと、はるか彼方の遠い世界のように感じますが、実際のところ、地球から宇宙までの距離は、そんなに遠く離れているわけではありません。

国際航空連盟では、地上から100kmを「カーマン・ライン」として、「宇宙空間」と「大気圏」の境界線と定義しています。

その高さまで行くと、空気抵抗を、ほとんど無視できる「真空状態」になるといわれています。

はるか彼方と思える「宇宙」も、案外近い「100km先」にあるというわけです。

地上→宇宙(対流圏→成層圏→中間圏→熱圏)

地球の周りの「大気の層(大気層)」は、気温の変化によって「4つの層」に分けられていて、地上に近い方から順に、「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」と呼ばれています。

対流圏

「対流圏」は、地上から10km付近までの層で、大気の約9割がこの対流圏に存在しているといわれています。

雲が発生したり、雨が降ったりする気象の変化は、この対流圏で起こっているといわれます。

地上から離れ、高度が高くなるにしたがって気温が下がっていき、1km上昇する毎に約6.5℃低下するといわれているので、真夏で、地上が30℃の場合でも、10kmの上空では-35℃ということになります。

成層圏

地上から約10kmを超えると「成層圏」に入りますが、東京から10kmといえば、品川付近になります。

長距離の旅客機が飛ぶのが、おおよそ、この成層圏のあたりだといわれます。

成層圏の下部では、温度はほぼ一定していますが、上部に行くと、温度は逆に上昇していき、成層圏の最上部の地上から50km付近では、-15~0℃程度といわれています。

中間圏

地上から約50kmを超えると「中間圏」になりますが、この層では、対流圏と同じように、高度が高くなるにしたがって温度は下がっていくといわれます。

中間層の最上部・地上から80km付近では、-90℃程度と、かなりの低温になっているといわれます。

熱圏

さらに上昇して、地上から約80kmまで上昇していくと「熱圏」に突入します。

東京から80kmといえば、神奈川県の小田原市付近になります。

ここからは、温度が急激に上昇して、空気中の窒素や酸素などは、太陽からの紫外線によって解離して原子状になるとされています。

熱圏の最上部・地上から500km付近は、700℃程度の高温状態といわれています。

生物は、全く存在しない空間とされます。

この熱圏に入って、さらに20kmほど上昇したあたりが、「宇宙空間」と「大気圏」の境界線「カーマン・ライン」です。

これより上部が「宇宙」とされます

地上からの距離にして「約100km」、東京からなら静岡県の熱海市まで、新幹線なら50分弱で行くことができる距離です。

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「宇宙」という「上方向への距離」は、感覚的に実感しにくいですが、数字にして「横方向の距離」で考えてみると、案外近いという印象があります。