夏の定番ともいえる「そうめん」と「ひやむぎ」。
冷たく冷やしたこれらの麺類は、ツルツルとした「のど越しの良さ」が特徴で、夏場の暑い時期でも食欲をそそってくれます。
お中元などの贈答品としてもよく使われる「そうめん」「ひやむぎ」ですが、このよく似た二つの麺には、どんな違いがあるのでしょう。
材料はどちらも「小麦粉」を使っていて、塩水でこねて麺にするというのも同じなので、大きな違いはないようにも思いますが‥。
「そうめん」と「ひやむぎ」の「太さ」
「そうめん」と「ひやむぎ」の一番の「違い」は、「太さ」といわれます。
JAS(日本農林規格)によると、
「そうめん」の太さは、「0.7~1.2ミリメートル」
「ひやむぎ」の太さは、「1.3~1.7ミリメートル」
とされています。
普段食べるときには、「そうめん」や「ひやむぎ」の「太さ」のことを意識することはほとんどありませんが、「ひやむぎ」より「そうめん」の方が「細い」ということになります。
ちなみに、「1.7ミリメートルより太い」と「うどん」になります。
「そうめん」には「油分」が含まれているものが多いですが、これは、「そうめん」を作る際に「細く引きのばす」ので、わずかに油をつけてなめらかにして切れにくくするためだといわれます。
手延べ
機械を使わない「手延べ」の麺がありますが、手延べの場合には、「太さ1.7ミリメートルまで」なら「手延べそうめん」「手延べひやむぎ」どちらを名乗っても良いことになっています。
これには、徳島県名産の「手延べ半田そうめん」が関係しているといわれます。
200年の歴史をもつとされる「手延べ半田そうめん」は、太さが1.7ミリメートル前後と「太い」という特徴がありますが、JASの規格によると「ひやむぎ」に分類されてしまうことになり、「手延べ半田そうめん」とは名乗れなくなってしまいます。
これを避けるために、JASが改定されたといわれています。
これにより、「1.7ミリメートルの麺」でも「手延べ半田そうめん」が名乗れるということになったわけです。
製法
JASでは、「そうめん」と「ひやむぎ」を「麺の太さ」で分類していますが、「そうめん」と「ひやむぎ」は、もともとは、「製法」が違っていたといわれます。
「そうめん」は「手で延ばして作り」
「ひやむぎ」は「生地を延ばしてから切って作っていた」
とされています。
現在では、「そうめん」と「ひやむぎ」とで大きな製法の違いはないようですが、以前は、「製法の違い」も二種類の麺を区別する一つの根拠になっていたのかもしれません。
いずれにしても、のど越しが良い「そうめん」と「ひやむぎ」は、どちらも夏場には欠かせない美味しい食べ物といえます。