睡眠障害とは、何らかの原因で、睡眠の長さ、質、リズムなどが妨げられて、睡眠が不足する状態になり、日常生活に支障をきたしてしまう状態のことですが、子供のうちの2割程度は、何らかの睡眠障害にかかっているともいわれています。
子供の睡眠障害の症状
睡眠障害では、眠るべき時間に眠れなかったり、眠いのになかなか眠れなかったりして、慢性的な睡眠不足の状態が続いてしまいます。
睡眠不足が続くと、「朝起きれない」「日中に眠くて仕方がない」など、日常生活にも支障が出るようになります。
睡眠障害の「具体的な症状」には、次のようなものがあります。
・寝つきが悪く、23時を過ぎても眠れていない。
・睡眠時間が9時間以下で短い。
・夜中や早朝に目が覚めている。
・激しいいびきをかく。
・夜は普通に寝ているが、日中に居眠りをする。
・就寝時間が遅い不規則な生活が続いている。
・十分に眠れず、頭痛が続いている。
・落ち着きがなく、衝動的なことがある。
子供の睡眠障害の原因
夜型の生活
最近の生活スタイルは、以前に比べて「夜型」の生活が多くなってきています。
共働きの家庭などでは、どうしても夜型の生活になってしまいがちですが、子供も、親の夜型生活に合わせて生活することが多くなっているといわれています。
生活が夜型になっても、学校や保育園に行く時間は、以前と変わりはないので、結果的に、睡眠時間が短縮されてしまうということになります。
テレビを観たりゲームをしたりしていると、夢中になって、夜遅い時間になっても眠くならないこともあります。
テレビやゲームの画面を見つめていると、目が冴えてしまうため、就寝直前まで画面を見ていると、寝床に入ってからもなかなか眠れない状態が続いてしまうことも。
この夜型の生活スタイルが、子供の睡眠障害の一因になっているともいわれています。
健全な成長のためには、子供は、午後8時遅くても9時には寝かせることが望ましいとされていますが、実際には、3歳以下の子供でも、午後10時以降に就寝することが多くなっているといわれています。
肥満、アデノイド、扁桃肥大
「肥満」「アデノイド」「扁桃肥大」は、気道が狭くなって呼吸障害の原因になることがあるといわれます。
鼻の奥にある「アデノイド」は、6~9歳頃に、急に肥大化することがあるともいわれています。
3~6歳頃に現れやすい「扁桃肥大」は、喉の奥の両側に丸く見えるリンパ組織のかたまり「口蓋扁桃」が腫れるもので、子供にはよく見られるのだそうです。
放っておいても自然に小さくなることがほとんどのようですが、時には過度に大きくなって、鼻づまりやいびきなどで呼吸がしづらくなり、ひどい場合には、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすこともあるといわれています。
睡眠の質が低下することが、睡眠障害の一因になってしまいます。
「肥満」で首の周りに脂肪がついた場合も、睡眠時無呼吸症候群の原因になることがあるといわれます。
肥満気味の場合は、早めに生活習慣を改善して痩せるようにすることが大切です。
疲れ、ストレス
疲れ、ストレス、不安などが原因となって、恐い夢を見て夜中に起きる「悪夢障害」や、夜中に突然泣き叫ぶ「夜驚症」につながることがあるといいます。
また、幼児期には、日中のストレスが、夜泣きの原因になることもあるといわれます。
子供の睡眠障害の対処法
扁桃肥大などがある場合は、まずはその原因を治療することが第一ですが、病気や疾患が原因でない場合は、単に睡眠リズムが乱れているだけのこともあります。
睡眠リズムを整えるには、朝に強い光を当てて体を目覚めさせる「高照度光治療」や、就寝前に体を温めてリラックスさせる「低温サウナ療法」など、夜型に慣れてしまった睡眠のサイクルを本来のサイクルに戻すという治療法もありますが、まずは生活のリズムを見直してみることが大切です。
具体的な対処法
病気などの根本的な原因がない場合の睡眠障害の対処は、規則正しい生活リズムを作っていくことが重要になります。
まずは、食生活、運動、生活リズムを見直して、子供が安眠できる環境を整えてみましょう。
「具体的な対処法」には、次のようなことが挙げられます。
・前夜に寝るのが多少遅かったとしても、午前7時には起床させる。
・遅くても午後9時には部屋を暗くして、寝かせる。
・入浴は午後7時までにはすませる。
・風呂は、ぬるめのお湯でゆっくり浸からせる。
・午後7時以降は、テレビを観たりゲームをしたりさせない。
・栄養バランスのとれた食事を心がける。
・おやつを与え過ぎない。
・休日でも、朝は普段通りに起こす。
・子供とのコミュニケーションをしっかりとる。(情緒を安定させる。)
・日中はしっかりと体を動かして遊ばせる。
まとめ
子供が、自分ひとりで睡眠障害を改善することは、非常に困難だといえます。
子供の睡眠障害を改善するには、周りの大人が気づいてあげることが不可欠になります。
何時に寝て何時に起きているか、いびきをかいていないか、夜に起きることはないか、日中の様子はどうかなどをよく見てあげましょう。
よく眠れていないようなら、上述の対処法を参考にして、安眠できる環境を整えてみてください。
それでも、よく眠れていないようなら、早めに専門医に診てもらうようにしましょう。