日本で長い間愛され歌い続けられている歌に、「大きな古時計」があります。
この「大きな古時計」、もともとは外国の歌で、原題は「Grandfather’s Clock(グランドファーザーズ・クロック)」といいます。
1876年に、アメリカのヘンリー・クレイ・ワーク氏が、宿泊していたホテルの主人から聞いた話をもとにして、作詞・作曲した歌だといわれています。
日本語の訳詞では、この古時計は「おじいさんが生まれた日」に買われて、おじいさんといっしょに休まずに動き続けて「100年」で止まってしまいます。
しかし、ヘンリー・クレイ・ワーク氏の原詞では、おじいさんは90歳で亡くなり、時計も90年で止まっているのです。
「90年」より「100年」の方が歌いやすい
原詞で「90年」になっていたものが、どうして、訳詞では「100年」に変わったのでしょう。
「大きな古時計」は、1962年(昭和37年)にNHKの「みんなのうた」で、歌手の立川清登氏と児童合唱団によって歌われることになります。
この時、NHKから訳詞の担当者に「90年では、児童合唱団が歌いにくいのではないか」という提案があり、「90年」が歌いやすい「100年」に変更されたといわれています。
確かに「90年休まずにチクタクチクタク♪」と実際に歌ってみると、「100年休まずに~♪」と歌うのに比べて歌いにくい気がします。
時代を超えて歌い継がれる名曲「大きな古時計」が誕生した背景には、児童合唱団への配慮があったようです。