タバコには、「ニコチン」や「タール」が含まれています。
これらの成分が体には良くないということは何となく分かりますが、実際に、体にどんな影響があるのでしょう。
また、「ニコチン」と「タール」の違いは、何なのでしょう。
ニコチン
「ニコチン」は、タバコに含まれている主な「アルカロイド」です。
「アルカロイド」とは「塩基性の植物成分」のことで、「植物塩基」とも呼ばれますが、人の体に強い生理作用を及ぼすものが多いとされています。
アルカロイドの中には、
「モルヒネ」
「アトロピン」
「エフェデリン」
「コカイン(局所麻酔)」
など、医薬品や農薬などに重要なものも多くあります。
「ニコチン」は、苦味や不快臭がある、無色~黄みがかった油状の「揮発性の液体」です。
「ニコチン」には「発がん性物質は含まれていない」とされていますが、神経系に対する毒性が強く、「血管収縮」や「心拍数増加」などを引き起こす作用があり、
「心拍数の上昇」
「血圧の上昇」
「動脈硬化」
などのリスクが高まるといわれています。
「ニコチン中毒」ともいわれるように、「ニコチン」は「依存性物質」で、タバコの乾燥葉に2~8%程度含まれている「ニコチン」が「タバコ中毒(=ニコチン中毒)」の原因になるとされています。
「急性」の中毒の場合には、
「おう吐」
「頭痛」
「顔面蒼白」
「冷汗」
「虚脱」
などの症状が起こり、
「慢性」の中毒の場合は、
「動脈硬化」
「心悸亢進」
「記憶減退」
「興奮」
「不眠」
「視覚障害」
などの症状が現れるといわれています。
「ニコチン」には、「神経」「小脳」「延髄」「脊髄」などを刺激・麻痺させる作用があるとされていますが、「タバコ1本分のニコチン」を「直接摂取」すると「死に至る」こともあるほどの「猛毒」だといわれます。
ニコチンの副作用
「タバコ」を吸うことで、大量の「一酸化炭素」を摂取することになります。
「一酸化炭素」は、体から酸素を奪って「ビタミンCを消費」させ「新陳代謝を阻害」するとされていて、「一酸化炭素」を大量に摂取することで「酸素不足」や「栄養不足」の状態となり、体力が回復せず、疲れがとれにくくなるといわれています。
また、夜に「タバコ」を吸うと、「ニコチンの覚醒作用」によって、寝つきが悪くなったり、夜中に目が醒めやすくなったりするともいわれています。
「喫煙者の不眠症」は、「非喫煙者の4~5倍」にもなるといわれます。
寝る前にリラックスしようとしてタバコを吸う人もいますが、実際のところは「逆効果」になっているといえそうです。
タール
一方の「タール」は、石炭や木材などの有機物を空気を遮断して加熱したときに、ガスとともに揮発し、冷却するとできる、粘り気のある黒色の液体です。
「コールタール」の類は、「防腐塗料」「染料」「医薬品」などの重要な原料となっています。
タバコに含まれる「タール」もその一種ですが、吸い込まれると「肺に蓄積」していくとされています。
「タール」は粘着性の強い物質なので、タバコを吸い続けていると、タールが「喉」「気道」「肺」などに蓄積して、「呼吸器にダメージを与える」ことも少なくないといわれます。
タバコを吸った時に「フィルター」や「歯」を茶色くする粘着性のものが「タール」で、いわゆる「ヤニ」と呼ばれるものです。
「タール」には、数百種類の「発がん性物質」が含まれているといわれていて、「タバコには発ガン性がある」といわれるのは、この「タール」が含まれていることが、根拠の一つになっているといわれています。