葉酸が妊娠中に必要な理由は?摂取は妊娠前から十分に

最近では「妊婦は、葉酸をしっかり摂ることが大切」といわれます。

産婦人科を受診した際に、葉酸サプリの摂取を勧められることもあります。

妊活・妊娠中に葉酸の大切さが注目されるようになったのは、最近になってからのようです。

葉酸の主な働き

平成12年に厚生労働省から「妊娠可能な年齢の女性は、積極的に葉酸を摂取するように」という主旨の発表があり、平成14年には母子手帳に葉酸の摂取に関する記載が追加されています。

葉酸は、ほうれん草の葉から発見されたビタミンB群の一種で、「細胞分裂」「DNAの合成」などに必要とされる栄養素で、「胎児の成長を助ける働き」があるとされています。

ビタミンは、水に溶けやすい性質をもった体内に留まらない「水溶性ビタミン」と、油脂やアルコールに溶けやすく体に蓄積される「脂溶性ビタミン」に分けられますが、「葉酸」は「水溶性ビタミン」です。

妊娠中に葉酸が不足することによる影響

葉酸は、細胞分裂やDNAの合成など身体の重要な働きに欠かせない栄養素で、妊娠中に不足すると、胎児の発育に障害が起こる可能性が高くなるとされています。

特に、妊娠初期に葉酸が不足すると、「胎児の神経管閉鎖障害」のリスクが高くなるといわれています。

また、葉酸には「造血作用」もあるので、不足すると「巨赤芽球性貧血」という悪性の貧血になるリスクも高まるといわれます。

妊娠中は貧血になりやくなっているので、この点からも、十分な葉酸の摂取が重要といえそうです。

胎児の先天異常「神経管閉鎖障害」

葉酸は、細胞の分裂や増殖が活発な胎児には必要不可欠な栄養素とされますが、特に、神経管(脳や脊髄など)が形成される「妊娠初期」には必須とされます。

妊娠初期に十分に葉酸を摂取すれば、「神経管閉鎖障害」という胎児の先天異常が発症するリスクを、7~8割程度軽減する効果が期待できるともいわれます。

神経管閉鎖障害では、二分脊椎によって歩行障害や排泄機能障害が残ったり、脳の一部が欠損や縮小する無脳症によって流産・死産となる可能性もあるといわれます。

妊娠7週目までには、神経管が形成されるとされますが、この時期に葉酸が不足して神経管の形成に影響を及ぼすと、二分脊椎や無脳症などの神経管閉鎖障害が起こりやすくなるといわれています。

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葉酸は妊娠前からしっかり摂取

現代の一般的な食生活では、「葉酸の摂取不足」が懸念されるといわれます。

このため、厚生労働省から「神経管閉鎖障害の発症リスクを低減するために、妊娠可能な年齢の女性に対し、葉酸の摂取と神経管閉鎖障害の関係について広く情報を提供するように」という旨の通知が出されています。

神経管閉鎖障害は、脳や脊髄などに起こる先天性の障害で、日本では1万人に6人程度の割合で起こるとされています。

胎児の先天性異常は、妊娠10週までの初期に発生することが多く、中枢神経系では7週未満に発生することが多いとされていることから、「最も葉酸の摂取が必要な時期」は「妊娠前1ヶ月~妊娠後3ヶ月まで」ともいわれます。

ただ、妊娠に気づくのは、早くても妊娠後2ヶ月を過ぎてからということがほとんどです。

厚生労働省の通知でも「妊娠可能な年齢の女性」という表現なっているので、妊娠のことを意識するようになったら、妊娠する前から葉酸を積極的に摂るようにするのが理想といえそうです。

葉酸の1日の摂取量

葉酸は体内に蓄積しておける栄養素ではないので、毎日摂取することが重要になります。

厚生労働省の通知では、妊娠を計画している女性は、食品からの葉酸摂取のほかに、サプリメント(栄養補助食品)で1日0.4mgの葉酸を摂取するようにとされています。

この「0.4mgの葉酸」は「毎日350gの野菜を適正に摂取すれば確保できる量」とされますが、実際にそれだけの量の野菜を毎日適正に摂り続けることは難しいということから、サプリメントでの摂取が推奨されているというわけです。

1日に摂取する葉酸の上限の目安は1mgとされていますが、葉酸は不足することがほとんどで、過剰摂取になることは滅多にない栄養素だといわれています。

妊娠を意識したら、「食事」と「サプリメント」から、積極的に葉酸を摂取するように心がけたいです。

葉酸は食品から摂取しにくい

葉酸には「水に溶けやすくて、熱にも弱い」という性質があるので、調理することで約半分が失われるとされています。

さらに、食品から体に吸収される葉酸は50%程度ともいわれています。

結局、体に吸収される葉酸は、当初食品に含まれている葉酸の「4分の1程度」になってしまうという計算になります。

それだけ、食品から多くの葉酸を摂取するのは難しいということになります。

葉酸を摂取するという目的で食事をする場合には、できるだけ食材に火を通さないようにした方が、効率よく葉酸を摂取することができるといわれます。

また、食材に含まれる葉酸を保つには、冷暗所に保管すると良いともいわれます。

ビタミンを同時に摂取

葉酸は、「ビタミンC」「ビタミンB6」「ビタミンB12」などと一緒に食べることで、吸収率がアップするといわれています。

「ビタミンC」が多く含まれている食品には「赤ピーマン」「いちご」「キウイフルーツ」「モロヘイヤ」などがあり、「ビタミンB6」は「鮭」や「鶏肉」に、「ビタミンB12」は「しじみ」や「あさり」などに豊富に含まれているといわれます。

葉酸が多く含まれている食品

葉酸は「緑黄色野菜」や「レバー」などに多く含まれているといわれます。

・ほうれん草:0.21mg/100g
・ブロッコリー:0.21mg/100g
・アスパラガス:0.18mg/100g
・枝豆:0.26mg/100g
・よもぎ:0.19mg/100g
・納豆:0.12mg/100g
・鶏レバー:1.3mg/100g
・牛レバー:1.0mg/100g
・豚レバー:0.81mg/100g
・イチゴ:0.09mg/100g
・オレンジ:0.03mg/100g
・調整豆乳:0.06mg/1カップ

サプリメントからの葉酸摂取

食品から葉酸を摂取するのに比べ、「サプリメント(栄養補助食品)」から葉酸を摂取する場合は「吸収率が85%程度」まで高くなるとされています。

このことが、厚生労働省が葉酸をサプリメントから摂取するように言っている大きな理由だといえます。

妊娠中は、多くの種類の食品をバランスよく摂取することはもちろんですが、併せて、サプリメントで葉酸を摂取することがとても大切になりそうです。

葉酸サプリ

葉酸は、妊活・妊娠中に不可欠の栄養素であるということもあり、妊娠に照準をあわせた様々な葉酸サプリが販売されています。

妊娠中は、脂溶性ビタミンや添加物などはできるだけ控えた方が良いとされるので、葉酸サプリを選ぶ際には、安全性のことも考えておく必要がありそうです。

添加物が少ない

妊娠前にショ糖エステルなどの「添加物」を摂取すると、染色体異常の危険性が高まるともいわれています。

余計な添加物が、できるだけ含まれていない葉酸サプリが良いといえそうです。

ビタミンAの過剰摂取に配慮されている

脂溶性ビタミンの「ビタミンA」は、体内に蓄積される性質を持つので、過剰摂取につながりやすいといわれています。

妊娠中に、1日3mg以上の過剰摂取が続くと、胎児に健康リスクが生じるともいわれているので、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンの配合に配慮されているかどうかも重要なポイントになりそうです。

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葉酸は体内に蓄積されない

「葉酸」は水に溶ける「水溶性のビタミン」なので、一度に多く摂取しても体内には蓄積されず、余った分は尿として排出されてしまいます。

このため、1日分の葉酸を一度にまとめてサプリで摂取しても、ほとんどが吸収されずに排出されてしまうことになります。

必要な葉酸を体内に吸収するためには、一日数回に分けて体に取り入れることが肝心です。

サプリを飲むタイミングは、「午前中に1回」「午後に1回」「就寝前に1回」程度が目安になるといわれます。

葉酸サプリの効果的な摂取時間

葉酸サプリを摂取する場合は、食事と食事の間の「食間」に飲むのが効果的だといわれています。

胃の中に何もない空腹の状態の時の方が、吸収率が高まるというのがその理由のようです。

「朝食と昼食の間」」「昼食と夕食の間」のほか、特に効果的なのが「就寝前」といわれます。

就寝前には、肝臓の血流が低下していて、サプリの成分が血液に吸収されやすい状態になっているので、よりサプリが吸収されやすくなるとのことです。

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葉酸は、動脈硬化、高血圧、ガン、認知症の予防や肌のシミの軽減などにも効果があるという研究結果もあるようです。

葉酸は、妊娠時にはもちろんですが、普段から十分な摂取を心がけたい栄養素といえそうです。

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