切迫流産の症状は?兆候があったらとにかく安静に

「切迫流産」とは、「お腹の張り」「出血」「痛み」など流産の兆候がある状態のことです。

意外に多くの人が経験しているといわれる切迫流産ですが、超音波検査が普及したこともあり、最近では「切迫流産」と「流産」とは区別して考えられるようになっているようです。

以前は、子宮内の様子がよく分からなかったため、流産の兆候と同じ症状が見られた場合には、切迫流産と流産は区別せずに対応されていたといいます。

現在では、超音波検査で早い段階から胎児の状態が確認できるようになり、胎児の心拍が確認できて子宮頚管が開いていなければ、お腹の張り、出血、痛みなどの症状が多少あっても、8割程度は妊娠が継続していくということが分かっているのだといいます。

「胎児の心拍が確認できない」場合は「流産」となりますが、そのほとんどの原因は「胎児の染色体異常」にあると考えられています。

出産した女性の2割程度は、妊娠初期に切迫流産の症状を経験しているともいわれます。

切迫流産

「流産」は「妊娠22週までに妊娠が終わること」をいいますが、「切迫流産」は「妊娠22週未満で胎児が子宮内にいて、流産しかけている状態」のことをいいます。

「流産」になってしまうと妊娠を継続していくことはできませんが、「切迫流産」は流産の一歩手前の状態なので、子宮内の胎児の心拍が確認できれば妊娠を継続していくことができる可能性があるといわれます。

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切迫流産の原因

妊娠12週までの流産は「早期流産」、妊娠12週以降の流産は「後期流産」と呼ばれますが、「早期流産」では胎児側に原因があることが多く、「後期流産」では母体側に原因があることが多いといわれています。

流産は、妊娠全体の約15%に起こるとされていますが、流産のうちの約80%は、妊娠12週未満に起こる「早期流産」だといわれています。

早期流産の原因

「早期流産」の多くは胎児側に原因があることが多く、その多くが「胎児の染色体異常」が原因とされています。

染色体異常が原因で流産となる場合は、流産をくい止めることはほとんど不可能とされています。

後期流産の原因

一方の「後期流産」の場合は、子宮の異常や絨毛膜羊膜炎など「母体側に原因がある」ことが多いといわれています。

妊娠後期に切迫流産となる主な原因には、次のようなものがあるといわれます。

・子宮の異常:
「子宮筋腫」や「子宮奇形」などがあると、胎児の成長を妨げる原因になるとされています。

・絨毛膜羊膜炎:
細菌感染によって胎児を包んでいる膜に炎症を生じるのが「絨毛膜羊膜炎」ですが、炎症が進むと流産に至る原因になるといわれます。

・母体の疾患:
「甲状腺機能の異常」や「糖尿病」など、母体に何らかの疾患がある場合には、妊娠が維持できなかったり胎児が発育できなかったりする原因になるといわれます。

上記のほか、「重い物の頻繁な持ち上げ」「長時間の立ち姿勢」「体の冷え」などの過度の負担が、切迫流産の要因の一つになるともいわれています。

切迫流産の症状

切迫流産では、次のような症状が見られることが多いといわれています。

・少量の出血
・軽い下腹部の痛み
・下腹部の膨満感
・腰痛

このような症状が見られる場合には、切迫流産の状態になっているのかもしれません。

切迫流産の際は、とにかく安静に

妊娠初期に切迫流産と診断されると、子宮収縮抑制剤や止血剤が処方されることもあるようですが、最近ではあまり使われなくなってきているといわれます。

薬を使用することでお腹の張りや出血をある程度抑えることはできますが、根本的に流産を止める治療にはならないからです。

流産の場合の多くは胎児側に原因があるとされるので、残念ながら、流産をする時には、どんな治療をしても流産をしてしまうことがほとんどだと考えられています。

妊娠が継続する場合には、次第に症状は治まってくるので、できるだけ「安静にして過ごす」のが一番だといわれます。

ただし、子宮頸管無力症と診断された場合には、そのままだと流産や早産につながる恐れがあるので、安静にしながら、適切な時期(妊娠12~16週頃)に子宮頚管を縛る手術が行われるようです。

切迫流産の場合、結果的に流産になってしまうものとならないものとでは、根本的に状態が異なるといわれます。

流産してしまう場合は、安静にしたからといって防げるわけではないのだといいます。

ただ、体を動かすと出血量が増えるということは事実なので、いたずらに不安を感じさせないためにも、ほとんどの場合は安静にするよう指示されるようです。

安静には「入院安静」と「自宅安静」とがありますが、切迫流産のほとんどは「自宅安静」を指示されることが多いようです。

切迫流産は、その症状が治まれば、その後の妊娠の継続や胎児に影響を与えることはほとんどないといわれていますし、子宮頸管無力症などの場合を除いては、早産の要因になることもないとされています。

切迫流産の予防は可能?

切迫流産となる原因には様々なものがあり、流産になるのをくい止めることができないものもあれば、適切な対応をすれば妊娠を継続させることが可能なものもあるといわれます。

「重い物を持たない」「長時間立ち続けない」「体を冷やさない」「ストレスを溜めない」「喫煙を控える」「飲酒を控える」「カフェインの入った飲み物を避ける」などは、切迫流産になる可能性をある程度軽減することができるともいわれています。

妊娠経過が正常であったとしても、妊娠初期には、少量の出血や軽い腹痛を感じることはそんなに珍しいことではないといわれます。

妊娠中に出血や腹痛が起こったら焦ってしまうかもしれませんが、落ち着いて症状を観察し、産婦人科を受診するなどして、それが流産の兆候かどうかをしっかりと見極めることが大切になりそうです。