妊娠すると、女性の体には「妊娠初期症状」と呼ばれる、様々な体調の変化が現れるといわれます。
妊娠初期症状は人それぞれですが、妊娠を希望している人にとって、妊娠の兆候がいつ頃どんな症状で現れるかということは、とても関心が強いことです。
妊娠初期症状はいつ頃から現れ、また、妊娠初期症状とそれによく似た生理前の症状とはどのように見分ければよいのでしょう。
妊娠初期の体調の変化
妊娠初期症状の現れる時期
「妊娠期間」は、週数に応じて「初期」「中期」「後期」に分けることができます。
受精卵が卵巣から子宮に移動して、子宮の内膜に着床すると妊娠が成立しますが、「妊娠0週」は最終生理開始日からカウントされ、「妊娠0~15週(4ヶ月)まで」が「妊娠初期」と呼ばれます。
妊娠が成立するのは、概ね妊娠2~4週といわれています。
着床すると、女性の体は妊娠を継続するため、通常とは異なったホルモンバランスに変わっていき、それに伴って、「妊娠初期症状」と呼ばれる症状が現れるようになるといわれます。
妊娠初期症状がいつ頃から現れるかは、個人差が大きいといわれますが、一般的には「妊娠5~6週目前後」に現れることが多いといわれています。
ただ、妊娠初期症状は、生理前の症状(月経前症候群=PMS)とよく似ているため、妊娠初期症状であることに気付かない人も多いようです。
妊娠初期症状
妊娠初期症状が現れる「時期」に個人差があるように、現れる「症状」も人それぞれで、いくつかの症状が同時に現れる場合もあれば、ほとんど実感がない場合もあります。
一般的に、妊娠初期症状として「現れやすい症状」には、次のようなものを挙げることができます。
つわり症状
早い場合には、妊娠4~5週頃からつわりの症状が現れ始めます。
代表的な「つわり症状」は、「吐き気」「空腹感」「食べ物の好みの変化」「においに敏感になる」ことなどです。
「酸っぱい食べ物が食べたくなる」「脂っこい食べ物が食べられなくなる」など、今までと食べ物の好みが変わったり、好きだった食べ物が食べられなくなったりすることもあるといわれます。
おりもの
妊娠すると、分泌される黄体ホルモンの働きで、おりものの量が増えることがあるといいます。
おりものの特徴としては、一般的には白色か透明でサラサラしていて、臭いはそんなに強くないことが多いようです。
おりものがピンクがかっている場合には血液が混じっていることが多く、着床出血の可能性もありますが、流産による血液が混じっている可能性もあるといわれます。
日頃からおりものが出やすい人は、量や状態など、普段のおりものと違うところはないか、よくチェックしてみる必要がありそうです。
基礎体温が高い状態が続く
基礎体温は、月経開始から排卵日(11~15日)までが低く(低温期)、排卵から約2週間は高い状態が続き(高温期)、月経が始まると再び体温は低くなっていきます。
妊娠をすると、通常は月経が始まると急激に減少する黄体ホルモンが継続して分泌されるようになりますが、黄体ホルモンには体温を上昇させる作用があるため、排卵後も基礎体温が高い状態がそのまま継続していきます。
風邪のような症状
妊娠初期には、「熱」「咳」「くしゃみ」「喉の痛み」「だるさ」など、風邪によく似た症状が現れることがあるといわれます。
風邪だと思って病院で診てもらったら、妊娠していることが分かったということもあります。
基礎体温は、排卵期になると高温期に入り、生理が終わると低温期に戻りますが、妊娠している場合には、上述のとおり体温が高い状態が続きます。
このため、倦怠感を感じたり、身体が火照ったような感覚になることがあるといわれます。
また、ホルモンの影響で、アレルギー反応を起こして咳やくしゃみなどが出やすくなることもあるようです。
予定日を過ぎても生理が来ず、熱っぽい状態が続いたり、咳やくしゃみなどの風邪のような症状が出ている場合は、妊娠検査薬を使ったり、産婦人科を受診したりするなどして、妊娠の有無を確かめてみる必要があるかもしれません。
妊娠しているのに気付かずに風邪薬を飲んでしまうと、胎児に悪影響を与えることもあるので、十分に注意する必要があります。
強い眠気
妊娠中(特に妊娠初期)は、黄体ホルモンの影響で体温が高い状態に保たれるため、強い眠気を感じやすくなるといわれます。
一日中眠く感じたり、だるく感じたりするのは、妊娠初期の代表的な症状といわれます。
よく眠っているはずなのに、日中に強い眠気を感じてしまい、仕事や家事などに支障が出ることも。
また、黄体ホルモンが分解されたときにできる「アロプロゲステロン」に睡眠薬のような催眠効果があるのも、強い眠気を感じる要因になっているとされます。
黄体ホルモンは、妊娠初期に最も活発になるといわれていて、つわりの時期には、ひどい眠気(眠気づわり)を感じることも多いようです。
眠気が強い場合には、日中に短時間の昼寝をしたり、ストレッチや散歩などをして気分転換をしたりするのもいいかもしれません。
便秘
妊娠中に分泌される黄体ホルモンには、腸の動きを抑制する作用があるといわれます。
このため、妊娠初期には便秘に悩まされる人が多くなるといわれます。
また、ホルモンバランスの変化によって自律神経が乱れることが、便秘の要因になっているともいわれています。
胸の張り
黄体ホルモンには、乳腺を活性化させたり血液量を増やしたりする作用があるため、ホルモンの分泌量が多くなると、胸が張った感じが強くなって違和感を感じることが多くなるといわれます。
生理前にも胸の張りを感じることがありますが、妊娠の際の胸の張りは、生理前よりも強く感じることが多いようです。
胸が張るだけでなく、乳首の色が黒ずんだり、痛みやかゆみなどの症状が現れたり、乳首が下着に触れてチクチクと感じたりすることもあるといわれます。
腹痛
下腹部に痛みを感じることがありますが、これは、大きくなりはじめた子宮が周囲を圧迫することによって起こる痛みだと考えられています。
また、下腹部がつるような痛みの場合は、子宮をささえている靱帯が急激な伸びのためにけいれんを起こしているのが原因だと考えられています。
生理が遅れている際に下腹部に痛みがある場合は、妊娠の可能性がありますが、まれに、妊娠後に流産しかけているために腹痛が起きることもあるといわれます。
痛みが強かったり、長期間続いたりする場合は、早めに病院を受診する必要がありそうです。
頻尿
妊娠すると、胎児が成長していくためにたくさんの水分が必要となるので、多くの水分を循環させるために、腎臓が活発に働くようになるといわれます。
腎臓が活発に働くことで、普段よりも多くの尿が作られるようになるので、トイレに行く回数も増えてきます。
場合によっては、1時間ごとにトイレに行くようなこともあるようです。
子宮が大きくなるにしたがって膀胱を圧迫するようになり、そのために頻尿気味になることもあるといわれます。
妊娠4か月頃になると、子宮がお腹の上部にあがっていくため、頻尿感は次第に治まっていくことが多いようです。
肌荒れ・むくみ
ホルモンバランスが変化することによって、ニキビ、乾燥、シミ、化粧品による炎症などの肌荒れの症状や、むくみの症状が現れることがあるといわれます。
情緒不安定
妊娠してホルモンバランスが急速に変化することで、イライラしやすくなったり、不安感が大きくなったり、涙もろくなったりと、情緒が不安定になるのも、妊娠初期症状の一つといわれます。
特に、初産の場合は、体調の不安定さから不安感が募っていくことも少なくないようです。
妊娠初期症状と生理前の症状を見分ける
「妊娠初期症状」は「生理前の症状」とよく似ていることから、妊娠に気付かないことも少なくないといわれます。
「妊娠初期症状」と「生理前の症状」とでは、どんな違いがあるのでしょう。
つわり症状
「妊娠初期」は「つわりが始まる時期」でもあります。
生理前につわり症状が現れることはほとんどないので、つわり症状が見られるかどうかが、妊娠初期であるかどうかを判断する一つの目安になるといわれます。
つわり症状の一つに「食べ物の好みの変化」があります。
酸っぱい食べ物が無性に食べたくなったり、脂っこい食べ物が全く食べられなくなったりなど、食べ物の好みに変化が見られる場合には、妊娠初期の段階かもしれません。
それ以外にも、「食欲が急に増した」「吐き気を感じる」「頻尿になった」などの症状が見られたら、妊娠の可能性があるかもしれません。
「今までの生理前とは違った症状」が見られるかどうかということがポイントになります。
基礎体温の高温期が続く
基礎体温の高温期が16日以上続いている場合には、妊娠の可能性があります。
「身体の火照り」や「倦怠感」が続いているかどうかも、ポイントの一つといわれます。
妊娠しているかどうかは、産婦人科で妊娠検査(尿検査と血液検査)を受けると分かりますが、まずは、妊娠検査薬を使って自己診断してみるといいかもしれません。
多くの妊娠検査薬の場合、陽性反応が出るのは妊娠5週目以降となるので、生理予定日から1週間後以降に検査するようにするといいです。
検査をする時期が早すぎると、正しい結果が得られないので要注意です。
まとめ
「妊娠初期の症状」と「生理前の症状」とはよく似ている症状が多いので、見分けることが難しいこともあります。
また、妊娠初期の症状が全く現れなかったのに、妊娠していたということもあります。
生理予定日を過ぎても生理がなく、妊娠の心当たりがある場合には、妊娠検査薬を使ったり産婦人科を受診したりするなどして、妊娠の有無を検査してみましょう。
早い段階で妊娠しているかどうかを知ることが、安全に妊娠を継続していくためには、とても大切なことだといえます。