野球の試合開始前にボールを投げる「始球式」。
芸能人やアイドルなど、いろんな人が投げますが、どんなボールを投げても、ほとんどの場合「空振り」をします。
どうして、始球式では「空振り」をするのでしょう。
ボールを打ち返してはいけないのでしょうか。
日本で最初の始球式
日本で最初に「始球式」が行われたのは、1908年に行われた、早稲田大学のチームとアメリカのプロチーム「リーチ・オール・アメリカン」との「親善試合」でのことだったといわれています。
野球の本場・アメリカでも始球式はありましたが、当時の「アメリカのスタイル」は、マウンドからボールを投げるのではなく、「スタンドからボールを投げ入れる」という形式だったといわれます。
しかし、この親善試合の始球式では、早稲田大学の創始者「大隈重信」氏がマウンドに立ち、打者に対してボールを投じたとされています。
大隈氏の投げだボールは、ストライクゾーンから大きくそれて、転がりながらキャッチャーミットへ。
これを見たバッターが、「ボールにしてはマズい」と思い、あえて「空振り」することで「ストライク」にして、大隈氏に敬意を払ったといわれます。
この始球式以降、日本の始球式では「空振り」することが慣例になったとされています。
打つことがダメなわけではない
始球式では、どんなボールでも「空振り」するのが慣例となっていますが、「始球式でボールを打ってはいけない」というルールがあるわけではありません。
当時、ダイエーホークスの柴原洋選手は、始球式で「漫画家の水島新司さん」が投げたボールを「三遊間」に打ち返していますし、
当時、北海道日本ハムファイターズの稲葉篤紀選手は、「俳優の佐藤隆太さん」が投げたボールを「ライト前」に打ち返しています。
また、「空振り」するつもりが、「バットに当たってしまった」というケースもあるようです。
日本一長い始球式
2015年8月に横浜スタジアムで行われた「横浜対阪神戦」。
始球式に、マイクをつけて登場した「柳沢慎吾さん」が、口でブラスバンドの演奏の真似をしながら、実況・解説を始めます。
「サインが決まらず首を振ったり」「ボークをとられたり」する「演技」で球場を盛り上げた後、やっとボールを投げました。
時間にして「7分を超える」始球式。
この、「柳沢慎吾さんの始球式」が「日本で一番時間の長かった始球式」とされています。