妊活の甲斐あって妊娠できたら、次に不安になるのが流産のことです。
全年齢を通した流産のリスクは15%前後ですが、35歳以上の高齢妊娠の場合には、流産の確率は20%程度になるといわれています。
高齢妊娠の場合には、5人に1人が流産してしまっているという計算になります。
妊娠中に無理をすることが良くないのは当然のことですが、流産の原因は「無理をする」ことよりも「母体や胎児に妊娠を続けることができない理由がある」ことの方が多いとされています。
特に高齢妊娠では卵子が老化しているために、流産をはじめとしたトラブルが起こりやすくなるといわれています。
流産
流産とは、妊娠22週より前に妊娠が終わることで、「自然流産」と「人工流産(人工妊娠中絶)」とがあります。
自然流産では、妊娠12週までに起こる「初期流産」の割合が多く、流産全体の80%以上を占めるといわれています。
初期流産の中でも、妊娠6週までに起こる流産の割合が特に多く、65%程度を占めるとされています。
よく「超音波検査で胎児の心音が確認できれば一安心」といわれますが、これは、胎児の心音が妊娠6~7週頃には確認できるようになるので、心音が確認できれば、流産の一つの壁「妊娠6週」を乗り越えたと考えられるからです。
流産の原因
妊娠初期の流産の原因として最も多いのは、「受精卵の染色体異常」だといわれています。
染色体に異常があることで、受精卵がそれ以上育っていくことができずに流産になってしまいます。
染色体異常の場合は、受精した時点で流産になることが決まっていることがほとんどだといわれます。
流産は、「胎児側に原因がある場合」と「母体側に原因がある場合」がありますが、受精卵の染色体異常は、胎児側に原因があるということになります。
妊娠初期の流産は、受精卵の染色体異常を始めとして、胎児側に何らかの原因があることがほとんどで、母体側に原因があることは少ないとされています。
受精卵の染色体異常が原因で流産となる割合は、自然流産の70%程度といわれていますが、この場合には、どんなに日々の生活に気をつけていても、流産を防ぐことはできないといわれます。
初期流産になる、胎児側、母体側の原因には次のようなものがあります。
胎児側の原因
・染色体異常
・遺伝子病
など
母体側の原因
・子宮の異常(子宮筋腫、子宮内膜症など)
・黄体機能不全
・内分泌疾患
・感染症(クラジミア、ヘルペス、トキソプラズマなど)
・体の冷え
・喫煙
・ストレス
など
「猫を飼うと流産する」といわれたりもしますが、これは、猫からトキソプラズマに感染することがあるからです。
猫を飼っている場合は、要注意です。
しばらくはどこかで預かってもらった方がいいかもしれません。
自然流産の兆候・症状
自然流産の兆候・症状としては、次のようなものが挙げられます。
・不正出血
・腹痛
・腰痛
・お腹の張り
・胸の張りがなくなる
・つわりが急に軽くなる
など
これらの症状があれば、必ず自然流産になるというわけではありませんが、吐き気や嘔吐などのつわりの症状が突然なくなって流産に気づくということもあるといわれます。
妊娠初期の流産では、「少量の不正出血」「お腹の張り」「腹痛」などの症状が出て、診てもらったら、胎児の心拍が確認できなかったというケースが多いようですが、妊娠初期の胎児は非常に小さいために、その出血が流産だということに気がづかないということも少なくないといわれています。
「流産=お腹の痛み」と思われがちですが、初期流産では、痛みをともなわずに不正出血をして流産してしまうこともあるといわれます。
痛みがなくても、不正出血があったら産婦人科を受診するようにしたいです。
流産の状態
流産は、子宮口が開くことで始まりますが、出血があり、子宮口が開いた流産の状態は「進行流産」と呼ばれます。
まさに、流産が進行している状態のことです。
この後、胎児を含め子宮内の物が全部排出されれば「完全流産」、全部または一部が子宮内に残ると「不完全流産」となります。
不完全流産の場合には、子宮内除去手術が行われることが多いといわれます。
流産しやすい時期
「流産しやすい時期」は「妊娠12週頃まで」といわれていて、この時期に起こる流産が、流産全体の80%以上を占めるといわれます。
中でも、妊娠6週までに起こる流産が特に多く、全体の65%程度を占めるとされています。
「流産は、安定期に入るまではいつ起こってもおかしくない」といえます。
不正出血や腹痛など、上記の流産の兆候の症状が見られたら、できるだけ早く病院で診てもらうことが大切です。
35歳以上になると流産の確率が高くなる
流産は、全妊娠の15%程度の確率で起こるとされていますが、35歳以上になると流産する確率が高くなり、35歳以上で20%程度、40歳以上になると40%程度になるとされています。
40歳以上になると、流産する確率が全体平均の2.5倍以上に高くなるということになります。
まとめ
初期流産は、染色体異常など胎児の側に原因があることがほとんどだといわれます。
特に、染色体異常が原因の流産は、受精した時点で流産になることが決まっていることがほとんどなので、妊婦の努力で回避することは難しいといわれています。
初期流産の兆候が見られても、自分を責めすぎることなく、落ち着いた気持ちで対応するようにしたいです。
初期流産は、回避することが難しいことがほとんどですが、切迫流産から流産に至るようなケースでは、妊婦自身の過ごし方や対応次第で、流産のリスクを最小限に止めて、流産を防げる場合もあるとされています。
不正出血や腹痛など何らかの異常を感じたら、些細なことでも、すぐにかかりつけの医師に相談することが大切です。