ポメラニアンの散歩
ポメラニアンの子犬期に散歩をさせるのは、運動させるという意味もありますが、世の中のことを分からせるという意味合いもあります。
散歩は、将来のポメラニアンの性格にも影響を及ぼす、大事な社会勉強になるというわけです。
最初のうちは、散歩をしていると、知らない人や犬に合ったり、車などの大きな音を聞いたりして、怖がることがあるかもしれません。
しかし、ポメラニアンの子犬期には、強い好奇心があるので、声をかけたりボディタッチをするなどして安心させてあげれば、すぐに様々な環境に慣れていくでしょう。
外を歩くことの喜びを教えてあげましょう。
子犬期の散歩
散歩デビューは、予防接種の2週間後
外の散歩が始められる時期は、2回目の予防接種が終了してから2週間後くらいが目安です。
1回目のワクチンでが終わった段階では、免疫抗体が十分にできていないので、2回目の接種が終わってからにしましょう。
ただ、小型犬のポメラニアンは、それぞれの骨の関節が完全にかみ合うまでに半年程度かかると言われているので、それまでは無理な運動は控えるようにした方がいいでしょう。
短時間の軽い散歩から始める
初めての散歩をするまでに、家でリードに慣れる練習をしておきましょう。
ポメラニアンは、首が弱いので、基本的に首輪はNGです。
散歩の際には、胴輪を使うようにします。
最初のうちは、胴輪だけをつけておき、慣れてた頃に細いひもをつけて、優しく呼びながら軽くひも引いてみるといいでしょう。
ただ、生後6ヵ月頃までのポメラニアンは、骨がとてももろくて、一生のうちで最も骨折しやすい時期です。
20cmの段差から飛び降りただけで骨折することも少なくないので、しばらくは、外で日光を浴びたり、様々な刺激に触れる程度に止めておくようにしましょう。
子犬の時期は、体力もなくとても疲れやすいので、もう少し遊びたいような感じでも、コンディションを見て早めに散歩を切り上げることも大切です。
同じ時間帯・同じルートでの散歩
散歩には段階が必要です。
いきなり刺激的なことを体験すると、強い恐怖心が残ってしまい、それ以降、散歩をしたがらなくなってしまうこともあります。
散歩中には、いろいろな不意の出来事が起こるものですが、ちょっと工夫することで刺激を最小限に止めてあげましょう。
まずは、外の空気を感じるという意味で、家の前に出るだけ。
家の前で、好きな方向に自由に歩かせてみましょう。
それだけでも、アスファルトの感覚や人の行き来、他の犬との出会いなどを体験することができます。
それに慣れてきたら、家の周辺など、数分で回れるコースを散歩してみましょう。
散歩に慣れるまでは、同じ時間、同じルートの方が、新しい環境に早く慣れやすいです。
散歩を活用したコミュニケーション
散歩では、運動をしたり排泄をしたりして、社会経験を積んでいくことができますが、散歩は、飼い主とポメラニアンとの貴重なコミュニケーションの機会でもあります。
散歩中は、リードを通した一対一の関係になります。
リードは、ポメラニアンにとっては絆のようなもので、見知らぬ環境の中では、命綱の役割も果たしています。
リードは、「飼い主は頼れる人」という信頼を感じさせるためのツールでもあるということです。
最初のうちは、リードを短めに持って、ポメラニアンが飼い主の近くで安心できるようにしておきます。
よく観察し、話しかけ、喜びを感じさせながら、たくさんの交流をしていきましょう。
飼い主と交流する習慣をつけることで、その後のトレーニングもスムーズに進めていくことができるようになります。
成犬期の散歩の回数と時間
犬の散歩の頻度はどのくらいが良いとか、何分がベストだとか、ネットや本にはたくさんの情報があります。
しかし、それらの情報が、自分が飼っているポメラニアンに合っているとは限りません。
ポメラニアンの散歩は、毎日朝晩必要とは限らない
ネットで検索すると、ポメラニアンの散歩は、毎日・朝晩2回・15分程度、散歩に行くべき、という情報をよく見かけます。
それが理想的というのは確かなことかもしれませんが、それは、飼い主に時間の余裕があって、毎日時間をかけて愛犬をケアでき、健康な10才くらいまでのポメラニアンの場合です。
一人暮らしあるいは共働きの家庭では、そのような散歩を、毎日朝晩2回行うことは、とても負担になるでしょう。
そもそも散歩というのは、ポメラニアンに適度な刺激を与えることができるように、歩いたり走ったり、コースを変えたりして、一緒に楽しみながら歩くものです。
しかも、散歩後は手足を洗ったり、身体をふいたりといった、ケアをしなければなりません。
時間に追われていたり、焦っていたりすれば、自ずと散歩もケアも適当になり、ケガをしかねません。
ポメラニアンは、骨、関節、膝蓋骨に爆弾をかかえている犬種なので、大切に扱っていく必要があります。
ポメラニアンも、やっつけの散歩では、つまらないでしょう。
それでは、週何回の散歩が良いのか、程度はどれくらいが良いのかというと、それは各家庭のライフスタイルとポメラニアンの健康状態、性格によります。
最低でも、週に2~3回はするようにして、ポメラニアンと散歩を楽しめ、かつ、ポメラニアンの散歩後のケアを、時間をかけて行える日に、散歩を行うようにすれば良いです。
週2~3回でも、広いドッグランに行ったり、公園をゆっくり散策したり、ドッグカフェに行ったりして、最高に楽しむことがでまれば、ポメラニアンにストレスは溜まりませんし、良い運動にもなります。
もちろん、高齢だったり、関節が悪かったりする場合は、1回の散歩は15分未満の短い時間にした方が良いので、できれば散歩の回数を増やせればいいですが、室内でマットをしいて遊ぶ、抱っこをして散歩に行く、カートに入れてお出かけする、などの代替の方法を考えてもOKです。
ポメラニアンの散歩時間は15分?
「ポメラニアンは、そんなに運動量が必要ない」「小型犬の散歩は、15分程度で良い」などとよくいわれます。
しかし、それは個体によります。
膝蓋骨脱臼や股関節脱臼の経歴をもちながら、11才を超えても、60分は余裕で歩けるポメラニアンが、実際にいます。
もちろん、健康を害することなくです。(膝と股関節に爆弾を抱えているので、週1~2回程度ですが。)
1時間、2時間でも余裕というポメラニアンもいますし、数分が限界というポメラニアンもいます。
子犬の頃とずっと同じで良いというわけではないので、ポメラニアンの歩く様子、年齢、健康状態などを総合的に判断して、散歩の時間・頻度を決めるようにしましょう。
首輪、散歩後のケアは要注意
ポメラニアンに首輪はNGです。
ポメラニアンは首が弱いので、強く引っ張ると頸椎ヘルニアになってしまう可能性があります。
「胴輪」にしましょう。
また、散歩後、片手で抱っこして手足を洗ってないでしょうか?
実は、これも危険な行為です。
なるべく、風呂場で床に立たせて、手足をシャワーで洗うようにすることをおすすめします。
ポメラニアンは骨が弱いので、たった数分でも無理な姿勢を続けることで、それが積もり積もって数年後に突然ヘルニア、脱臼、骨折、神経麻痺などが引き起こされる可能性があるからです。
健康管理の面で必須の散歩ですが、大切なのは散歩の「質」です。
事故やケガ、ポメラニアンへの負担を軽減するためにも、「疲れている日は休む」という選択肢もあることを忘れないようにしましょう。