ポメラニアンがかかりやすい病気/毎日の健康チェック

ポメラニアンの寿命は、12~16歳位といわれていますが、人間同様、犬も高齢化が進んでいるので、病気を予防したり、病気と上手に付き合っていくことが大切になってきます。

ポメラニアンを飼っていると、先天性の病気、事故での怪我、高齢による病気、生活習慣病など、起こり得る病気はたくさんあります。

ポメラニアンがかかりやすい病気

膝蓋骨脱臼

膝の皿のことを、膝蓋骨(しつがいこつ)といいますが、この膝蓋骨が、正常な位置からずれてしまう病気が、膝蓋骨脱臼(パテラ)です。

ポメラニアンは、先天的に膝の皿が緩いことが多いですが、生まれたときから膝のまわりの骨や筋肉にの形成に異常があって脱臼を起こす先天性のものと、打撲や落下などが原因で起こる後天性のものとがあります。

膝の内側にずれる内方脱臼と、外側にずれる外方脱臼がありますが、ポメラニアンの場合は、ほとんどが内側にずれる膝蓋骨内方脱臼だといわれています。

もともと緩いけれども、生涯何ごともなく過ごせるポメラニアン、ちょっと歩くとすぐ外れてしまうポメラニアン、ジャンプなどの衝撃が加わると外れてしまうポメラニアンなど、その症状や程度は、それぞれの犬によって様々です。

皿が外れても、自分で伸びをしてもとに戻すことも多いですが、何度も繰り返すことで、元に戻らなくなることもあります。

痛みがあると、ポメラニアンはしっかりと地面を踏むことができず、脱臼している足をかばってスキップするような歩き方をしたり、つま先立ちで歩いたりします。

歩き方がおかしいと感じたら、動物病院で診てもらうようにしましょう。

骨折・脱臼

ポメラニアンは、運動が大好きでよく動きますが、骨はとても華奢です。

体重に比べて足の骨が細く、特に生後5~6ヵ月頃は、体重は増えているのに、足は「ガラスの足」のような状態でとても繊細です。

純粋無垢、強気なのに臆病、天真爛漫な性格なので、ちょっと目を離した隙に、物にぶつかったり、飛び降りたり、転んだりして、骨折や脱臼をしてしまうことも少なくありません。

毛があるので分かりにくいかもしれませんが、ポメラニアンは、もともと骨がとても細い犬種です。

骨折や脱臼は、しつけと予防対策で防ぐことができるので、赤ちゃんのうちからケアをしていくことがおすすめです。

ポメラニアンの子犬期には、段差のないところで遊ばせるのが基本になります。

「マットを敷く」「飛び乗れるものは置かない」「ソファーは置かない」などの対策をしておけば、安全性も高くなります。

成犬になってからでも、飼い主の膝から飛び降りただけて骨折するということも少なくありません。

長時間の運動や激しい遊びは、骨が華奢なポメラニアンには、あまり向いているとはいえません。

ただ、あまり過保護すぎるのも、骨を弱らせてしまうので良くありません。

適度に散歩させたり、運動させたりして、足腰を丈夫にしていきましょう。

気管虚脱

ポメラニアンが寝ているときに「グググ・・・」というような音を発したり、散歩でリードを引くと「ケホっ」と咳をしたりすることがあります。

ポメラニアンは、もともと気管が狭く、呼吸がしにくいとされている犬種です。

間違った飼養方法を続けていたり、高齢になってくると、気管支がつぶれて、咳や呼吸困難を起こすことがあります。

気管虚脱は、早期治療と適切なケアをしないと、死に至ることもある恐い病気です。

流涙(りゅうるい)症

流涙症では、あふれた涙で目の下の被毛や皮膚が茶色に変色してしまいます。

一見すると、がんこな涙やけですが、流涙症は目の病気です。

通常、余分な涙は鼻涙管を通って、鼻の方へ流れていきますが、流涙症では、鼻涙管が狭くなったり詰まったりして、涙が目の外にあふれ出してしまい、その涙が酸化することで変色が起こります。

他にも、結膜や角膜に異常があって、涙がうまく角膜の表面を覆うことができずに流れ出してしまうこともあります。

ホルモン性の脱毛症

ホルモン性の脱毛症は、ポメラニアンの雄に比較的多く見られます。

脱毛、乾燥、毛色の悪さが見られますが、他にはかゆみなどの目立った症状がないのが特徴です。

ホルモンをつくる酵素が先天的にかけている場合には、被毛がまとまって抜けることもありますが、ホルモン異常の場合は、異常を起こしているホルモンの種類によって脱毛の部位が異なります。

毛が生えてくるまでには時間がかかり、よくなっても再発することもあるので、ホルモン性の脱毛症は、長期的な治療が必要になります。

動脈管開存症

動脈管は、生まれる前に母犬のお腹の中にいるときに必要だった、大動脈と肺静脈を繋ぐ血管です。

通常は、生後2~3日で閉じますが、開いたまま残ってしまうことがあります。

これが動脈管開存症で、先天性の疾患です。

血液が正常に流れないので、心臓に負担がかかって、呼吸困難、貧血、運動能力の低下などの心不全の症状が見られます。

重度の場合には、生後1~2ヵ月で症状が現れて、死に至ることもありますが、症状が軽い場合には、5~6歳頃まで気づかずに過ごすこともあります。

基本的には、手術での治療となります。

水頭症

頭の中に水が溜まってしまう病気です。

脳内が圧迫されるので、付随して神経麻痺、歩行困難などを伴います。

遺伝、ウイルス感染が主な原因とされています。

ずっと寝たきりになり、散歩もできず生涯を過ごすことになることもあります。

ポメラニアンの健康チェック

ポメラニアンにも、日によって好不調があります。

遊び過ぎた翌日は良く寝ていたり、暑い日にはぐったりしていたりと、不調の原因も様々です。

ただの不調だと思っていたら、実は病気だったということもあり、実際には、単なる不調と病気とを見分けるのが難しいこともありますが、ポメラニアンの病気のサインを見分けるには、いくつかのポイントがあります。

目の輝きは、ポメラニアンの特徴の一つです。

その目に輝きがない、目が乾いている、涙が多い、目やにが多いというような状態なら、目の病気の可能性があります。

前足でしきりに目をかいていれば、それはかゆい証拠です。

健康なポメラニアンの鼻は、適度に湿っていてツヤがあります。

鼻が乾いている、鼻水が出ている、出血が見られるというような場合は、早めに獣医さんに診てもらいましょう。

ただし、寝ている時には鼻が乾いているので、寝起きの際の鼻の乾きは気にしなくても大丈夫です。

ポメラニアンの舌は、おおむねピンク色をしています。

普段より青白くなっている、紫になっている、乾いているというようなら、健康状態が良くない可能性があります。

普段のポメラニアンの舌の色を覚えておきましょう。

歯茎

ポメラニアンは、一般的に、心臓が弱い傾向にあります。

歯肉を指で押してみて、色が白からピンクにもどるまでの時間で、ある程度、心臓や血液の状態を知ることができます。

心肺機能が正常なら、1~2秒程度で元のピンク色にもどります。

ポメラニアンは食が細いことが多いので、たくさん食べさそうとして、やわらかい食べ物を与えることがよくあります。

そんなこともあり、歯が弱くなって、歯石も付きやすくなり、歯周病になることも多いです。

口臭がする、出血がある、よだれが多い、噛むときに痛がるというような場合は、獣医さんに診てもらうようにしましょう。

健康なポメラニアンの耳は、清潔で乾いていて、においもなく、皮膚はなめらかです。

赤みがある、においがする、かゆがる、分泌物が出るというような場合は要注意です。

また、頭をしきりに振る、足で耳をかくというような時にも注意が必要です。

外耳炎をはじめとした耳の病気かもしれません。

皮膚

皮膚病の原因には、アレルギー、寄生虫、カビなどいろいろありますが、発疹、湿疹、フケ、脱毛などの症状が現れます。

ポメラニアンがかゆがって、後ろ足でかいたり、気になる箇所をしきりになめたり噛んだリするようなら、早めに獣医さんに診てもらって、その原因を見つけてあげましょう。

普段から、被毛をかき分けて、皮膚に異常がないかを確認することも大切です。

腹部

ポメラニアンを真横から見て、腹部のふくらみを確認し、さらに肋骨の後ろから両手をまわして、腹部をやさしく撫でて軽く押してみましょう。

ふくらんだ感じがあったり、触られるのを嫌がるような場合は、内臓に腫瘍や炎症などの病気が隠れていることもあります。

早めに獣医さんに診てもらいましょう。

ポメラニアンが健康なら、きびきびと軽やかな歩き方をします。

足の運びが緩慢、歩くのを嫌がる、足の着き方がおかしいというようなときには、足や腰に痛みがあるのかもしれません。

痛みの原因となるような傷などが見当たらなければ、一度獣医さんに診てもらいましょう。

骨折や関節などの病気が隠れているかもしれません。

排泄

便や尿は、全身の状態を目で確認することができる、重要な健康のバロメーターです。

便や尿の色、におい、回数、量の変化には、普段から注意をしておきましょう。

特に、尿の回数が多くなった、排泄物に血が混じっている、下痢や軟便が続くというような場合は要注意です。

また、尿が全く出ない時には、早急に動物病院を受診する必要があります。

便のチェック

ポメラニアンの便は、飼い主が、ポメラニアンの健康をチェックする、重要なポイントです。

便の形、色、臭い、回数などに異常がないか、毎回確認をするようにしましょう。

ポメラニアンの健康状態を知ることができる、大切な機会です。

健康な便の目安

「色」:茶色やこげ茶色が、健康な便の色といわれています。黄土色でもOKです。

「臭い」:いつもの臭いがするかどうかをチェックします。

「硬さ」:ティッシュで掴んだときに、崩れない程度の硬さが健康とされています。

「回数」:子犬は多くて約5回。成犬は食事の回数+1回が目安といわれています。明らかに回数が多かったり、少なかったりする場合は、体調を崩している可能性が高いです。

体調に異常がある時の便

「色」:
白(透明)→ 緑 → 黒の順で危険だといわれています。
黒の場合は、出血の可能性が高いです。
表面であれば、肛門付近の出血ですが、便の中に血がみえたり、真っ黒な場合は、胃腸に異常がある可能性があります。
すぐに動物病院へ行きましょう。

「臭い」:
消化不良の便は、臭いです。
腸内環境に問題があるかもしれません。
ドッグフードを変えたり、ヨーグルトなどを与えて腸内環境を整えることで改善することもありますが、続くようなら、動物病院で検査してみましょう。

「硬さ」:
ポメラニアンにストレスが溜まると、柔らかい便になります。
下痢の場合は、一日の絶食で治ることが多いですが、液体のような便の場合は、動物病院で相談してみましょう。
硬い便の場合は、餌が足りていない可能性もあります。
もう一度、適量の確認をしてみましょう。

ポメラニアンの便の状態で、体調異常を早期に発見することも可能なので、毎日しっかりと観察することが大切です。

まとめ

ポメラニアンが病気にならないよう、また病気の進行を遅らせられるように、毎日の食べ物、飼養環境、運動量とその方法、健康管理方法などを、もう一度見直してみるのもいいかもしれません。

ポメラニアンの様子に何となく違和感があったり、不調の状態が長引くようなら、病気を疑って早めに獣医さんに診てもらうようにしましょう。