「お見舞い」といえば「病気見舞い」が一番に思いつくと思いますが、お見舞いは、病気見舞いだけではありません。
病気見舞いの他にも、災害の際の「災害見舞い」や、忙しく頑張っている人を激励する「陣中見舞い」などがあります。
いずれのお見舞いも、義理や形式などにとらわれないで、相手の状況や気持ちを思いやることが大切だといわれます。
特に、病気見舞いや災害見舞いでは、細やかな配慮が必要になります。
病気見舞いのマナー
病気のお見舞いに際しては、まずは、本人や家族、病院などに病状を確認し、お見舞いに行っても良いかどうかの判断をする必要があります。
容態がよく分からな場合や、面会謝絶などの場合には、お見舞いの品に手紙を添えて、自宅に届けるようにします。
お見舞いのタイミング
お見舞いに行くタイミングは、入院直後や手術の前後は避け、容態が回復に向かい始めた頃がベストといわれます。
病院では、検査や診察が、午前中に行われることが多いので、できれば午前中のお見舞いは避けた方が無難です。
また、午後からでも検査やリハビリなどで、病室にいないこともあるので、入院中の予定が確認できるようであれば、確認してからお見舞いに行くようにしたいです。
お見舞いの際には、香水や派手な化粧は避けて、清楚な服装で静かに見舞うようにしましょう。
大人数での見舞いは、相手を疲れさせてしまい、大部屋の場合には、他の患者さんの迷惑にもなってしまいます。
お見舞いは、基本的には1人で、多くても3人位まででするようにしたいです。
また、小さな子供を連れての見舞いも、院内で騒いだりして迷惑になることもあるので、できるだけ避けるようにしましょう。
お見舞いに行く時間
病院にお見舞いに行く場合には、昼食後の14時~15時頃がベストといわれますが、それぞれの病院には面会時間のルールがあるので、それを確認してからお見舞いに行くようにしましょう。
面会している時間が長くなると、相手の負担になってしまうので、面会時間は15~20分程度、長くても30分を過ぎたら切り上げるようにしましょう。
お見舞い時の会話
お見舞いの際の会話では、相手が話さない限り、病状についての会話は避けるようにします。
また、治療に関しての不確かな情報を伝えるのもNGです。
つい「元気?」と声をかけてしまうこともあるようですが、入院しているのに元気なはずはありませんから、このような声かけはしないように注意しましょう。
元気づけたいという気持ちから、大きな声で話したり笑ったりするのも、他の患者さんの迷惑になリかねないので控えるようにします。
否定的な話題も避けるようにして、付き添いの家族に、労いの言葉をかけるなどの配慮も忘れないようにしましょう。
眠っている場合
眠っている時に見舞った場合は、そのまま起こさず、付き添いの家族やナースステーションなどに、お見舞いの品を預け、言付けをして引き上げるようにしましょう。
病状が重い場合
お見舞いの際に、病状が重くなって面会ができないこともあります。
こういう場合には、付き添いの家族に対応してもらえる場合はそちらにあいさつをし、それが難しい場合には、ナースステーションに言付けをするなどして引き上げましょう。
お見舞いの花
お見舞いの定番といえば「花」ですが、感染症やアレルギーの予防のため、生花の持ち込みを禁止している病院もあります。
花を持って行く場合には、必ず病院に確認をとりましょう。
病室には花瓶がないことも多いので、花といっしょに花瓶を持って行くか、フラワーアレンジメントを選ぶようにするといいです。
また、プリザーブトフラワーなら、生花を禁止しているしている病院でも、持ち込めることが多く、香りもないので、大部屋でも迷惑になることもありません。
花の置き場所のことも考え、大きすぎないものを選ぶようにしましょう。
お見舞いには適さない花
・香りの強い花
・散りやすい花
・トゲのある花
・鉢植えの花
・真紅の花
・菊
・椿
・百合
・シクラメン
見舞金の金額・袋
見舞金の金額は、
知人や職場関係の人の場合は、五千円程度(まとめる場合は三千円程度)
親族や親しい間柄の人の場合は、一万円程度
が目安といわれています。
本来、目上の人に現金を渡すのは失礼とされますが、見舞金に関しては、失礼にあたらないとされています。
見舞金を入れる袋は、市販の見舞い用袋か白い封筒を使います。
見舞い用袋の場合、水引きは「紅白の結び切り」を使い、表書きは「御見舞」とするのが一般的ですが、目上の人を見舞う場合は「御伺(おうかがい)」とすることもあります。
紅白の水引きを使いたくない場合は、左側に赤い線が入った、お見舞い専用の袋もあります。
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病気が快復したら、見舞ってくれたことに対して、返礼するという習わしがあります。
病気が治った喜びと、見舞ってくれたことへの感謝の気持ちを込めて、内祝いの品を贈ります。
内祝いの品の金額は、お見舞いにもらった金額の3分の1から2分の1程度が目安になります。
内祝いの品は、「病気が残らないように」との願いを込めて、洗剤、ジュース、お菓子など、後に残らないものを選ぶのが一般的です。
表書きは「内祝」「快気内祝」として、紅白の結び切りの水引きののし紙を使います。
内祝いは、床上げから概ね10日以内に贈るのがマナーとされています。
災害見舞いのマナー
地震、火事、台風、水害などの災害に遭った際のお見舞いが、災害見舞いです。
災害に遭った人がいる場合には、まずは、安否や被害状況を確認し、物資が必要なのか、片付けなどのために人手が必要なのかを判断するようにします。
災害に遭った人が近隣にいる場合は、可能ならば、すぐに駆け付けるようにするといいです。
災害見舞いの送付
大規模な災害の場合は、ある程度落ち着いた状況になってから、お見舞いをするのが基本です。
災害直後は、電話は不通になることが多いです。
相手と連絡が取れない場合には、現地の役所などに確認をしたり、テレビ、ラジオ、インターネットなどのメディアの情報を基に、状況を把握したりするようにします。
状況がよく分からないまま、災害見舞いを送ると、現地で混乱を招くこともあるので、災害見舞いを送付する際には、自治体の対策本部などに確認し、適切な方法で送るようにしましょう。
災害見舞いに送るもの
災害時にお見舞いをする場合は、相手が何を必要としているのかを確認するのが一番ですが、連絡が取れない場合は、食料品、衣類、衛生品、赤ちゃんがいれば、ミルクや紙おむつなどの、すぐに使える実用品を送るようにすると良いといわれます。
ただし、古着などは、かえって迷惑になることが多いといわれているので、十分配慮して送るようにしましょう。
災害によっては、物資を送るよりも、片付けなどの手伝いをした方が喜ばれることもありますし、当面の生活費に充てるために、現金が一番役立つということもあります。
どういうものが必要になるかは、正に、ケースバイケースなので、その時の災害の状況に応じて判断する必要があります。
災害に遭ったことを後で知った場合には、現金を送るようにするといいでしょう。
災害のお見舞い金
災害のお見舞い金は、5千円~1万円程度が目安になります。
災害見舞金を入れる袋は、「白い封筒」を使います。
表書きは「災害御見舞」「震災御見舞」「火災御見舞」「水害御見舞」などとしますが、のしと水引きは不要です。
お札は、新札でなくても構いませんが、汚れがひどいお札やよれよれになったお札は避けるようにしましょう。
新札の場合は、一度折り目をつけてから使うようにするといいです。
陣中見舞いのマナー
忙しく頑張っている人を応援して激励するのが、陣中見舞いです。
「陣中」とは、「陣屋の中」という意味で、軍隊の陣営、つまり「戦場」のことを指します。
もともとは、戦場で戦う兵士を慰労するために行われていましたが、現在では、人が働いている職場などを戦場に見たてて「陣中見舞い」と言われています。
職場のほかにも、イベント、展示会、発表会、合宿、試合、受験勉強などで頑張ってる人を励まし、労いの言葉を添えて差し入れなどを渡します。
陣中見舞いには、通常は、現金か品物が贈られます。
現金での陣中見舞い
見舞金の額は、相手が親族の場合には1万円程度、友人・知人の場合は5千円程度が相場とされています。
見舞金を入れる袋は、紅白の蝶結びの水引きにのしつきの祝儀袋を使います。
表書きは、一般的には「陣中御見舞」としますが、スポーツの試合の場合には「祈必勝」、受験生の場合には「祈合格」などとすることもあります。
品物での陣中見舞い
品物の場合は、その場にいる人全員に渡るように、数は多めに用意します。
イベントなどの陣中見舞いでは、現金よりも品物を差し入れる方が一般的です。
ジュース、ビール、お菓子、果物などは、陣中見舞いによく使われます。
食品の場合は、配りやすさのことも考えて、個別包装のものなどを選ぶようにするといいです。
花を贈る場合は、明るくて華やかなものを選ぶようにしましょう。
注意すること
演劇や演奏などの興行の場合は、初日や興行中に、お菓子、果物、飲料などを贈りますが、個人の発表会や個展の初日の場合は、「陣中御見舞」ではなく「御祝」となります。
また、選挙事務所への飲食物の差し入れは、運動員、労務者への一定限度の弁当を除いては、公職選挙法で禁止されているので、注意が必要です。
陣中見舞いに対するお礼は、一般的には「不要」とされています。