一口にアスペルガー症候群と言っても、その特性は、一人ひとり違っています。
アスペルガー症候群と診断されたからといって、腫れものに触るように接するのではなく、ちょっと分かりにくい個性を持っていると捉えて接するようにしましょう。
大事なことは文字で伝える
アスペルガーの人は、目で見た情報が理解しやすいので、重要なことは口頭で伝えるのではなく、メモに書いたりメールを送信したりして伝えるといいです。
そうすれば、間違いなく伝わる確率がグンと高くなります。
普段のコミュニケーションでも、できるだけ文字をうまく活用すればスムーズになります。
ただ、メモやメールの際には、文章をくどくどと長く書くのではなく、簡潔に箇条書きにする方がいいです。
返事が必要な場合には、必ず「○○までに返事をください」と書くようにするといいです。
スケジュール表を作る
アスペルガーの人は、頭の中で整理したり、優先順位をつけたりすることが苦手です。
時間的な感覚が乏しいことも多いので、1日の行動をスケジュール表を作って、目で見て確認できるようにしておくといいです。
このスケジュール表では、文字のほかにも、記号、マーク、絵、写真などを使うと、より理解しやすくなります。
同時に複数のことを言わない
アスペルガーの人は、一度に複数のことを言われても、重要なことの優先順位を判断することができません。
何かをお願いするときなどには、「あれとこれをやっておいてね」とか「あれをやったら、その次はこれをやってね」というように、同時に複数のことをお願いするのではなく、1つずつ分けてお願いをするようにするといいです。
1つのことが終わってから、次のことをお願いするようにすれば、混乱せずに済みます。
予定の変更は早めに伝える
アスペルガーの人は、急な予定変更に対応することができません。
変更することでどういうことが起こるのか予測ができないので、不安になるからです。
予定の変更は、できるだけ早く伝えるようにしましょう。
予定の変更を伝える時に、全体のスケジュールについても同時に伝えてあげれば、さらに安心することができます。
予定の変更には、手順や道順の変更も含まれると考えておきましょう。
手順や道順だけが変更になる場合は、手順や道順を変更しても結果は同じになるということを同時に伝えてあげれば、安心できます。
否定するのではなく肯定的に指摘する
アスペルガーの人に注意をする時に、「~しなさい」といった命令的な言い方や、「~してはダメ」といった否定的な言い方をすると、「怒られている」「やったこと全てを否定されている」と感じて、落ち込んでしまうことがよくあります。
何かを指摘する際にも、否定的な言い方はせずに、「こうするようにしよう。」といった肯定的な言い方をすることが大切です。
そうすれば、本人も前向きな気持ちで受け止めることができます。
また、できないことを指摘することも必要なことですが、できたことをしっかりと評価して褒めてあげることも、とても大切です。
アスペルガーの人は、自分のことを評価してくれた人のことを信頼する傾向が強く、信頼関係が深まれば、さらにコミュニケーションもスムーズになっていきます。
ものを置く場所を決めておく
アスペルガーの人は、身のまわりに置いているものの場所が決まっていると、全体を把握しやすいという特性があります。
食事をする場所、カバンを置く場所、服をかけておく場所、リラックスする場所など、決まった場所で決まったことをすることで「自分は守られている」と感じ、落ち着くことができます。
学校や職場では、そのような場所がはっきりと区分けされていることは珍しいので、混乱してしまうことも多いと言われます。
できないことを無理にさせない
アスペルガーの人は、多くの人が当たり前のようにできることができなかったり、コミュニケーションがうまくとれないことなどに、ストレスを感じていることがよくあります。
さらに、「常識がない」「どうしてそんなことができないの」などと言われ続けると、どんどん自信を失っていき、うつや引きこもりなどの二次障害に陥ってしまうこともあります。
周りの人は、アスペルガー症候群には、特性上、どうしても苦手でできないことがあるということを理解してあげることが大切です。
その上で、できないことをさせようとするのではなく、できることを増やしていくというスタンスで接していくといいです。