感覚過敏でパニックになることもあるアスペルガー

アスペルガーの人は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の「五感」で、独特の感じ方をします。

敏感すぎる感覚や鈍感すぎる感覚がアンバランスになって、不快感に悩むことも多いようです。

五感に特徴がある他にも、体の感覚をつかむのが苦手なことが多いので、アスペルガーの人は、運動が苦手なことが多いです。

アスペルガーの人の「触覚」

アスペルガーの人は、肌にものが触れる感覚の「触覚」が特に敏感です。

外出する時には、マスクや帽子が欠かせない人も多く、「雨が痛い」「風が痛い」と言う人もいます。

人に触れられるのも、自分から触れるのも嫌がることが多く、それは家族や恋人などの親しい人に対しても同じです。

服が肌に合わないと、強いかゆみゆ痛みを感じるため、服の素材の好き嫌いは非常にはっきりとしています。

一度着た服の素材が心地よいと感じたら、以降はその素材の服しか着ないということも少なくありません。

こういった皮膚の感覚は、赤ちゃんの頃から変わらないので、小さい時には抱っこされるのが苦手なことが多いようです。

アスペルガーの人の「視覚」

視覚の大きな特徴は、特定の色やキラキラ光るものを好む傾向があります。

また、アスペルガーの人は、目から入ってくる情報にとても敏感なので、文字なども形として覚えるという特徴があります。

難しい漢字でも、漢字そのものは比較的よく覚えますが、その漢字の正しい意味や使い方は理解していないことが多いです。

これは、漢字の形を画像として覚えているからだといえます。

この特性を活かして、情報のやりとりを口頭ではなく書面やメールなどで行うようにすれば、コミュニケーションがスムーズになることもあります。

アスペルガーの人の「味覚」

食べ物に好き嫌いがあるのは、そんなに珍しいことではありませんが、アスペルガーの人には、それが特に顕著に現れる傾向があります。

特に、「野菜」や「きのこ」を嫌うことが多いですが、「温かいものしか食べられない」「麺類しか食べられない」というような極端な場合もあります。

子供の頃の食べ物の好き嫌いは、子供のわがままや親のしつけが悪いからだと思われて、アスペルガーの特性だということには気づかれないことが多いです。

アスペルガーの人の「聴覚」

アスペルガーの人は、雑音や突然の大きな音がとても苦手です。

「ガガガガガッ」という工事現場の音、「ザワザワ」とした雑踏の音、「ブォー」という掃除機の音などに強い不快感を感じることが多いです。

そんな環境の中では、人と話すことも難しくなり、ひどい時にはパニックに陥ってしまうこともあります。

意味のない不規則な音が一度に聞こえると、話し相手の声などの「聞きたい音」だけに集中することができなくなるということもありますが、雑音そのものも苦手です。

また、花火や救急車のサイレンなど、突然鳴り響く大きな音が苦手だったり、音感が優れている場合には、日常の様々な音のズレが常に気になることもあります。

そんな一方で、車のエンジン音や電車のガタンゴトンという連続音など、特定の音に執着する人もいます。

アスペルガーの人の「嗅覚」

嗅覚については、他の感覚に比べると、特徴的なことは少ないですが、消毒されたプールのにおいや生臭いにおいなど、特定のにおいを嫌がることがあります。

また、いろいろなにおいが混ざっているのが苦手で、人混みには行けないということもあります。

臭覚に関しては、敏感すぎて問題になるというよりも、特定のにおいを嫌う人が多いといえそうです。

不器用で体の位置感覚をつかむのが苦手なアスペルガー

アスペルガーの人は、体の位置感覚をつかむのが苦手なので、家具や壁に体をぶつけたり、何もないところでつまづいたりすることがよくあります。

スポーツは得意でない人が多いです。

手先も不器用なことが多いので、ペンや箸を落としたり、机の上のものを倒したりすることも多く、字を丁寧に書くのも苦手です。

五感の敏感さとは対照的に、痛みの感覚や、暑い・寒いなどの温度の感覚は鈍いことが多く、ちょっとしたケガややけどには気がつかないこともあるようです。

アスペルガーの人で、ピアノや絵画などが飛びぬけて上手な人がいますが、これは、手先の器用さというよりは模倣力が優れているからだといわれています。