暦は、大きてく分けて「太陽暦」「太陰暦」「太陰太陽暦」の3種類があります。
現在、日本で主に使われている「新暦」と呼ばれる暦は「太陽暦」で、以前主に使われていた「旧暦」と呼ばれる暦は、太陰暦に太陽暦の要素を加えた「太陰太陽暦」です。
現在使われている新暦の太陽暦と、以前使われていた旧暦の太陰太陽暦には、どんな違いがあるのでしょうか。
太陽暦と太陰暦
太陽暦(新暦)
「太陽暦」は、地球が太陽の周りを1周する時間を1年(365日)としています。
地球が太陽の周りを1周するのに要する時間は、約365日5時間48分46秒とされていますが、この端数の時間のズレを調整するために、太陽暦では、約4年に1度「うるう年」が設けられます。
太陽暦は、古代エジプトの時代から使われていましたが、その後改良されていき、ユリウス暦を経て、現在では「グレゴリオ暦」が世界の各国で使用されています。
現在の世界基準の暦が「太陽暦」です。
日本では、1873年(明治6年)からグレゴリオ暦が採用されています。
太陰暦
「太陰暦」は、月の満ち欠けを基にした暦で、月が新月から次の新月になるまでの期間を1ヵ月(29日または30日)とし、1年を12ヵ月とした暦です。
太陰暦では、30年を1周期とし、1年354日の年が19回、355日のうるう年が11回あります。
太陰暦の基になる「月の満ち欠け」は、「太陽の動き」とは直接関係がないので、季節は次第にズレていきます。
現在でも、イスラム歴では太陰暦が使われています。
太陰太陽暦(旧暦)
太陰暦に太陽暦の要素を加えた暦が「太陰太陽暦」で、立春に近い新月の日を1年のはじまりの日とします。
1年は、354日または355日が基本となりますが、19年に7回あるうるう年では、1年が384日または385日となります。
うるう年は、ほぼ3年に1度の割合となり、1年を13ヵ月にして、暦のズレを調整しています。
日本の「旧暦」が「太陰太陽暦」です。
太陰太陽暦は、現在でも、ユダヤ暦、ギリシア暦、中国暦などで使われています。
新暦と旧暦
新暦
「新暦」は、太陽の運行を基本とする「太陽暦」なので、毎年、四季の巡りと暦が一致します。
季節は、約3ヵ月ごとに巡ってきますが、新暦では、四季の区切りも、実際に体感する季節感に近ものとなります。
新暦の春:3月、4月、5月
新暦の夏:6月、7月、8月
新暦の秋:9月、10月、11月
新暦の冬:12月、1月、2月
旧暦
「旧暦」は、月の運行を基本にした「太陰暦」に、太陽の運行を基本とする「太陽暦」の要素を加えた、「太陰太陽暦」です。
旧暦では、1月から春が始まり、その後3ヵ月ごとに季節が巡っていきます。
真冬の1月に届く年賀状に「新春」「迎春」などと書くのは、旧暦の考え方が影響しているからです。
現在でも、いくつかの年中行事は、旧暦を基にして行われています。
旧暦の春:1月、2月、3月
旧暦の夏:4月、5月、6月
旧暦の秋:7月、8月、9月
旧暦の冬:10月、11月、12月
新暦と旧暦の季節感のズレ
日本で、旧暦が新暦に改暦されたのは明治時代。
1872年(明治5年)12月2日をもって旧暦が廃止され、その翌日が新暦の1月1日(1873年(明治6年)1月1日)とされました。
この改暦の時点で、新暦と旧暦との間には、約1ヵ月のズレが生じています。
これに、新暦の巡りと旧暦の巡りのズレが加わって、新暦の季節感と旧暦の季節感には、1~2ヵ月程度のズレが生じることになります。
現在行われている年中行事などの多くは、新暦に合わせて行われるようになってきていますが、旧暦の日付を調整することなく、そのまま新暦に当てはめた場合には、季節感のズレが顕著になります。
「旧正月」「旧盆」などといわれますが、これは「旧暦の正月」「旧暦の盆」ということです。
旧暦での風習は、現在の生活にも深い関わりを残しています。
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