「交響曲第9番の呪い」という、クラシックにまつわる有名な「都市伝説」があります。
「交響曲第9番を作曲した人には、不幸が襲いかかってきて、命を落とすこともある」という都市伝説です。
交響曲第9番
交響曲は、「交響曲の父」と呼ばれる「ハイドン」によって考え出され、天才「ベートーヴェン」によって完成させられたといわれています。
主に、弦楽器で演奏される多楽章からできている大規模な楽曲が「交響曲」です。
「交響曲第9番の呪い」がクラシック界で語られるようになったのは、ベートーヴェンが亡くなってからです。
このため、「交響曲第9番の呪い」は、「ベートーヴェンの呪い」と呼ばれることもあります。
交響曲第9番の呪い
ベートーヴェンは56歳で亡くなっていますが、生前に交響曲を「第9番」まで作曲しています。
亡くなる直前まで「第10番」をつくろうとしていましたが、完成する前に亡くなってしまったといわれます。
このベートーヴェンの「無念さ」が呪いとなって、交響曲第9番をつくった作曲家たちに襲いかかっていくというのです。
「ブルックナー」「ドヴォルザーク」「ブォーン・ウィリアムズ」「マーラー」などが、この呪いの犠牲になったといわれています。
「ブルックナー」は、第9番の作曲中に第3楽章を書き上げたところで亡くなっていますし、
「ドヴォルザーク」「ブォーン・ウィリアムズ」は、第9番をつくった後に亡くなっています。
交響曲の大家として知られる「マーラー」は、第9番の呪いを恐れて、交響曲第8番の後の交響曲を、あえて「大地の歌」と名付け呪いにかからないようにしたといわれています。
その後、マーラーは、呪いにかからなかったと安心して、あたらめて交響曲第9番を作曲しましたが、完成後、第10番のスケッチを残して亡くなってしまいました。
シベリウスの呪いへの対抗
フィンランドに「シベリウス」という作曲家がいました。
彼は、交響曲第9番の呪いに対抗するため、「書き上げた交響曲第8番を燃やしてしまった」といわれています。
「第8番」がなくなってしまったので、その後、どんなに作曲しても「第9番」に数えられる交響曲はないという理屈です。
この作戦は大成功で、シベリウスは、その後も順調に作曲を続けていき、91年の人生をまっとうしています。